決死の覚悟と奇跡の1日
【中南米旅のキロク】
気づいた時には、街から大きな道路に出る手前の道に立っていました。
行き先を書いた紙を持って。
恐る恐る親指を立てて。
そう、人生初の長距離ヒッチハイクの旅が、全く意図しないままに始まってしまいました。
この時の心境は………
やるしかない。
ここ、プエルトナタレスは、パタゴニア地方3大見所のひとつ、パイネ国立公園があり、次の見所ペリトモレノ氷河のあるエルカラファテが私のヒッチハイクの目的地。
パタゴニアを周遊している人がいたら、確実にエルカラファテに行けるはず!
しかも今はハイシーズン!
これは追い風か!?
とかなんとか考えながら、車にサインを送り続けること30分。
ひとりのおじいさんが止まってくれました。
エルカラファテまでは行かないけど、途中の街まで行くから乗りなさい。
といった気がする。
↑いかんせんスペイン語がわからない。
おじいさん、地元の人っぽいし、信じよう!
と決めて、乗せてもらうことに。
おじいさんは私の拙いスペイン語を優しく聞いてくれるほんとにいい人でした。
出発地点プエルトナタレスはチリだけど、目的地エルカラファテはアルゼンチン。
そう、このヒッチハイクでは、国境越えという大試練まで、まるでおまけのようについてきていたのですが…
優しすぎるおじいさんのおかげで難なくクリアヽ(;∀;)ノ
チリ→アルゼンチンの国境越えは比較的簡単で、荷物検査すらありませんでした。良かった〜( ͒ ́ඉ .̫ ඉ ̀ ͒)
助手席からの景色
のどかな風景を見つめているうちに、おじいさんの街に到着。
ガソリンスタンドで、トイレに行っている間に、私の分の紅茶まで買ってくれた本当に優しいおじいさん。
最後は、街から外れたエルカラファテ方面に向かう道路のところまで送ってくれました。
後ろで微笑んでる控えめなおじいさんが、ドライバー。隣のおじさんは、ガソスタで合流したおじいさんの友達(たぶん)
がしかし
ここでのヒッチハイクが1番の試練だったかもしれない。
見渡す限り何もない道路。
車は5分に1台くらいしか通らない。
吹きさらしの場所で
立っているだけで吹き飛ばされそうになりながら
車を待つことになろうとは
このとき頭の中ではいろんなパターンがめぐっていたのでした。
最終どうにかなる!と自分に言い聞かせながら
これは修行!と言い聞かせながら
それでも半泣きになるのを抑えきれないでいると
遠くから歩いてくる3人組のバックパッカーが…!!!
僕たちもエルカラファテを目指してるけど、君が先に待っていたから、僕たちはもう少し後ろで待機するよ!
お互い頑張ろう!!
と励ましてもらい、ちょっとだけ元気になりました。
そこからもかなり長い時間、なかなか車が拾えず、心折れかけたその時。
1台の車が止まってくれました。
小さな女の子を乗せたお父さんが
エルカラファテまでは行かないけど、途中の街まで行くから、さぁ乗って!
といった気がする。
↑スペイン語、わかりません。。。
もうどこでもいいーー!!
とにかくここから脱出したいーー!!
という気持ちで、車に乗り込みました。
車にはもう一つ座席が余っていて、後ろで待機していたイスラエル人3人組のうちの1人も乗せてもらえました。
同乗したイスラエル人のエリックは、スペイン語ペラペラだったので、運転手のお父さんとひたすら話してくれていて、私は緊張の糸がほどけてウトウト…
しているうちに、次の街につきました。
乗せてもらったお礼に、女の子にお菓子をあげました。
さて、次の車を拾おう!
と、ここからはエリックとともにヒッチハイク。
あーー1人じゃないってだけでどうしてこんなにも気持ちが軽いだろうか(꒦ິ⌑꒦ີ)
旅をしていると、つくづく実感する
私は決して1人じゃ生きていけないな
ということ。
そばに誰かがいる安心感を
楽しさを
喜びを
痛いほど感じてしまう。
そんなことを考えていると、今回は比較的すぐに次の車が拾えました!
次に乗せてもらった、これまた地元のおじさん。
おじさんとエリック、音楽の話とかでめちゃめちゃ盛り上がってたな〜。
このおじさんは、ヒッチハイカーを乗せ慣れている様子で、私たちを分岐点で降ろした後、またすぐに別のヒッチハイカーを拾っていました。
エルカラファテまであと少し!!
ここから通る車はすべてエルカラファテに行く車!!
俄然やる気も元気もわいてきて
最後のヒッチハイクはエリックと
あの車だ!
あれだ!
とわいわい盛り上がっているうちに拾うことができました。
おそらくツアー用のバンに乗ったお兄さん。めちゃくちゃ気さくで優しくて
腹ペコの私たちにエンパナーダをくれたり
あまりの空腹に、食べかけだしブレてる
マテ茶をくれたり
本格的なやつだー!
乗せてくれただけでもありがたいのに、サービス精神めちゃくちゃ旺盛でした。
人の温かみにじんわりきているうちに、エルカラファテに無事到着。
所要時間8時間。
走行距離は約270km。
私の長い長い1日が、ようやく終わりました。
別れぎわ、エリックにお礼を告げると
君は僕がいて本当に良かったね!
だって君、スペイン語話せないんだから!
と言われちゃいました。
ごもっとも〜!!!
これほどまでに人とのめぐりあいに感謝したことは今までなかったかもしれない。
奇跡の1日。
すべての出会いに感謝して、まだ興奮状態の脳みそをなんとか沈めて、ベッドでゆっくり眠れることに、改めて感謝したのでした。